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ニードルフェルトでリアルな動物を作っています。 彼らの紡ぎ出すそれぞれの物語を、どうぞ聞いてください。
第十夜 * マリア堂の祈り
2011年01月01日 (土) | 編集 |
「ぼくたちの お家の入り口で
とても素敵なものを 見つけたよ!
キラキラ光ってて へびいちごの実のように赤い
お姫さまの かんむりみたい!
きみに ぴったりさ
ぼくの 可愛いお嫁さん!」

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「…マリア様
どうか私の祈りを お聞き届け下さい
昨日 この近くで 指輪を落としました
教会のバザーの 手伝いに行くときに

その時 ちょうど 教会の前に馬車が停まって
美しく着飾った人が 降りるのが見えたのです
アメリアでした
娘時代の 一番の友達 
遠くの町の 大きなお屋敷に嫁いだ彼女が
赤ちゃんを連れて 帰ってきているのでした

私は 一番新しいリンネルの服を着て
普段はひっつめている髪を ほどいて とかしつけていましたが
急いで髪を ひとつにくくると
はめていた 小さな石の指輪を
スカートのかくしに 滑り込ませました
着替える暇も無く 急いで出てきた風を装いたかったのです
精一杯 めかしこんでいる自分の姿が
彼女に比べると みじめに 滑稽に思えてきて…

失くしたのは あの時に違いありません
大切な 指輪でした
夫からもらった たった一つの指輪でした
私は何と 愚かだったのでしょう?
じゅうぶん 幸せだったのに
人と比べるなんて…
ポールには 何といえば?」

アカネズミ夫婦

「この ゆびわ… 返してあげようね?」
「…うん!」

アカネズミしっぽ

「マリア様…ああマリア様、
感謝します!

今朝起きたら 扉の外に 片手に乗るほどの小さな
葉っぱを重ねてくるんだ包みが そっと置いてありました
開けたら…ぎっしりの真っ赤なへびいちごの実!
そして…失くしたあの指輪が!」

アカネズミ籠

「うふっ


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